議会報告

令和5年第3回定例議会 一般質問

[ 令和 5年  9月 定例会-09月21日-02号 ]

◆十六番(青空こうじ 議員) よろしくお願いします。今朝も日課の立ち番をしてまいりましたが、本日から秋の交通安全週間が始まり、町会の皆さんと一緒に子どもたちが安全に通学できるよう見守りをしてまいりました。子どもたちの笑顔に触れて元気をもらってまいりました。
私は、漫才コンビを組んで今年で約六十年目です。思い出に残る舞台もたくさん経験しましたが、中でも、漫才の持ちネタで「逆さメロドラマ」という漫才がございます。自分たちでも工夫を重ね、言葉のマジックを感じさせる、そういう一つのネタになりました。逆さ言葉だけの掛け合いでは、お客様にも演目の内容が伝わりづらい、ギャグの合間に正しいせりふを織り交ぜてさりげなく説明して、最後にはお客様にも理解してもらい、理解できないまま終わらせるのなら、これは約束違反です。
さて、世の中には理解できないまま放置をしていることが多過ぎるように感じます。ふだんの生活の中でも理解できないものはいろいろありますが、その代表格に税があると思います。納税は国民の義務ですが、税の仕組みを理解できないと、税を納めるだけではなく、取られている、そういう感覚になります。納める先が地方なのか、国なのか、その違いが分かっているようで分かっていない、それも税です。
例えば車を持っている方は毎年自動車税を納めていると思いますが、税額は意識しても、これを納める先がどこなのかはっきり分からない方が多いと思います。正解は、これは都税です。東京都に入るわけです。これが一たび、軽自動車になると区税です。これは世田谷区に入ってきます。区役所の管轄となるのですが、実にややこしい感じがします。
また、租税教育の一環として、子どもたちが一生懸命作成した税に関するポスターや標語の展示を見ることがありますが、毎年、どの作品も非常に力作ぞろいで、子どもたちの関心の高さが作品からひしひしと伝わってまいります。
一方、区や税務署の広報紙で税の記事を目にしますと、残念ながら、これは読むのがおっくうになってまいります。まるで、これらの広報紙は逆さ言葉のギャグに似たような感じがします。納税の納の字は納得です。納得しないまま取られるのは、納税の言葉に値しません。
そこでまず、税への納得度の促進について伺います。よく行政の説明では、標準世帯という言葉がありますが、一般的に世田谷区が説明する場合の区の標準世帯はどのような世帯なのか、お伺いします。
所得税は現年、住民税は前年の収入に課税されますが、標準世帯では、その地方税と国税を幾らぐらい納めていることになるのか、また、住民税と所得税の割合はどのぐらいになるのか教えてください。
次に、税の広報について伺います。
私は、広報は誰にでも分かりやすいようにごくシンプルにすることが効果的だと思っています。税は、国の方針に基づき、社会保障や子育て支援の財源として報道されることが多いのですが、実際の使い道が分からないままだと、知らぬ間に勝手に取られたという印象を持たれ、不満のもとになります。
世田谷区においても、税は区民の暮らしを豊かにする公共サービスの財源であって、なくてはならないものと思っております。法に基づき賦課、徴収しているものなので、区民の皆様にもそれを正しく理解していただくことが重要だと思います。
税に関する広報は、住民に税への関心と理解が深まるよう、区だけでなく、国や都と強力なタッグを組んで行うべきですが、区の考えをお伺いします。
また、寄附と税の仕組みの違いが分かるキャンペーンもぜひやっていただきたいと思います。これも有効だと思います。税への関心や理解が深まれば、ふるさと納税制度への疑問も高まるのではないでしょうか。お得な買物感があるふるさと納税ですが、これは寄附が納税に置き換えられ、お返しがついてくる仕組みです。国民全体で見れば、お財布から出したお金は同じなのに、ふるさと納税をした人はお返しがあって、受け取った自治体はお返しを用意するので、国全体では使える税の額が減ってしまいます。これはちょっと変です。また、総務省がふるさと納税に関する最新の調査結果を公表しましたが、令和四年度には全国でふるさと納税された実績は九千六百億円余りと、約一兆円に届こうかという勢いです。これに比例し、世田谷区からの税源流出も増加していて、今年度は九十八億円に達したとの報告も受けています。一方、寄附額のランキングを見ると、宮崎の都城や北海道の紋別市などが例年上位を占めています。これらの自治体の返礼品は、地元の宮崎牛や焼酎、そして、さらには新鮮なホタテやカニなど、豪華商品がずらりと並んでいます。残念ながら、世田谷区にはこのような地場産品は少ないのですが、返礼品以外にも区民の共感を得て、寄附を募る方法は考えられないのでしょうか。
先日、国立科学博物館が光熱費の高騰などを受けて、国内最大規模の動植物の標本や化石などのコレクションを収集する資金が危機的な状態にあるとして寄附を募ったことが報道されていました。募集から僅か二週間余りで目標額を大きく超える約七億円もの寄附金が集まり、博物館では、標本の収集や保管が当面、支障なく行えるだけでなく、他の博物館などの支援にも活用できる見通しであると話題になりました。
また、今月上旬に発生した台風十三号では、千葉や茨城、福島の各地で、大雨により多大な被害が発生しました。被災した皆様には心よりお見舞い申し上げますが、これらの被災自治体では、損壊した道路の補修、河川の護岸などのインフラ整備のため、ふるさと納税の仕組みを利用して寄附を募っております。また、最近、少子化の世相を反映してか、子ども・教育関連へのプロジェクトにも寄附の興味が高まっていると聞いております。
このように、必ずしも豪華な返礼品ではなくとも、関心や魅力のある取組を直接応援できるのであれば、寄附する方の共感を得られると思います。子どもたちの育成や困っている高齢者、障害者の方に対する取組など世田谷ならではの事業の推進を約束することによって、寄附を募っても効果があると考えますが、区の見解をお伺いします。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
◎工藤 財務部長 区民税の負担と理解に関する質問について、財務部から三点一括してお答えいたします。
まず、標準世帯に関する御質問ですが、総務省統計局の定義によりますと、標準世帯とは就業者が世帯主一人だけの四人世帯を指しますが、区の実態に照らしますと、直近の統計では単身世帯が全体の五割以上となっております。
次に、標準世帯の納税額に関する御質問ですが、仮に現状、区の所得階層で多くを占める収入が約三百六十万円で、単身世帯の方を想定した場合ですと、年額で住民税が約二十万円、そして所得税が約十万円となり、二対一の比率となります。
税は様々な公的サービスを提供する財源となっており、現在、国でも厳しい経済状況を背景として、その使途や負担の在り方に関して様々に議論されているところです。同様に区においても、当然にその使途に関しましては、予算決算のプロセスなどを通じて区民に広く議論いただけるよう周知に努めるとともに、国や都と連携して税の制度を丁寧に説明し、区民の皆様の納得を得られるよう努力してまいります。
以上でございます。
◎有馬 政策経営部長 私からは、福祉施策への充当など、使途を明確にしたふるさと納税による財源確保の推進についてお答えいたします。
区では、これまでも区民の方に対しては区報などを通じて、区にふるさと納税を行う際に返礼品は受け取れませんが、御自身の税の使い道の一部を選択することにつながるということなどもPRしながら、制度の理解促進に努めてまいりました。
また、寄附文化の醸成に向けては、区の取組をお示しすることで寄附という形の共感をいただいたり、社会課題に目を向けていただくために寄附を活用してまいりました。特に平成二十八年度に募集を開始した児童養護施設退所者等奨学基金には多くの賛同をいただき、今年度からは、児童養護施設退所者等奨学・自立支援基金として使途を拡大して支援の内容を拡充したところでございます。さらに、この八月からは、せたがや動物とともにいきるまちプロジェクトとして、動物関連施策への寄附募集を開始するなど、社会貢献、地域貢献型のプロジェクトにも力を入れて取り組んでいるところでございます。一方で、区税の流出額が年々増加し、流出に歯止めがかからないことから、昨年の秋には方針を転換し、返礼品を大幅に拡充し、取組を強化しております。
今後とも、ふるさと納税制度の理解促進に努めながら、世田谷らしい施策への寄附募集に係る取組を推進するとともに、魅力ある返礼品のさらなる拡充などにより一層の寄附獲得に努めてまいります。
以上でございます。
◆十六番(青空こうじ 議員) ありがとうございます。僕なんかも思うんですけれども、十月に世田谷区の花火があるけれども、ああいうときに寄附した方、いっぱい高額をやってくれた方には、いい席で、帰りにホテルに招待するとか、何かもうちょっとアイデアがあったほうがいいんじゃないかと思うんですね。さもなかったら、新しい庁舎になったら一日区長にさせるとか、それで大庭さんの話を聞くとか、面白いと思うんですよ。一日区長なんて絶対楽しいと思いますよ、本当に。
もうちょっといろいろなアイデア、次の来月のときにまたいろんなことを考えて、今回、税のことを初めてやりました。自分でもいい勉強になりました。またいろいろアイデアを考えて、来月頑張ります。ありがとうございました。